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「ダンスの良さを伝えたら大手メーカーの面接落ちた」日本最大規模のダンスサークル代表とジャンルリーダーが語る偽りのない就活談〜前編〜


日本にある大学ダンスサークルの数は600を超えています。その中でも「最も人数が多い」であろう早稲田大学ダンスサークルSesSion(500名所属)の運営の中枢を担っていた、代表とジャンルリーダーの3名に”マジで偽りのない”リアリティ満載の就活体験談を語ってもらいました。

(写真左から)
安西翔太(あんざいしょうた)
早稲田大学教育学部4年
3年時、早稲田大学ダンスサークルSesSionにてPOPジャンルリーダーを務める。IT人材メガベンチャーのレバレジーズ株式会社に内定。現在、ダンサーズキャリアにてサイト制作責任者と面談メンターを務めている。

永井颯馬(ながいそうま)
早稲田大学政治経済学部学部4年
3年時、早稲田大学ダンスサークルSesSionにて12代目幹事長を勤める。ジャンルはHIPHOP。東証一部上場企業、UTグループ株式会社の幹部候補採用コースに内定。

今脇智哉(いまわきともや)
早稲田大学文学部4年
3年時、早稲田大学ダンスサークルSesSionにてBREAKジャンルリーダーを務める。大手ブライダル企業 ワタベウェディング株式会社に内定。現在、ダンサーズキャリアにて面談メンターを務めている。

就活どんな感じで始めた??

安西

どんな感じで就活始めた?

智哉

最初にダンキャリの主催の「ダンサーのための1:1キャリア面談」に行って、その後に「人事がナットクするダンスの伝え方セミナー」に安西に誘われて行って始めた。(行った理由は)とりあえずこれを聞いたらヒントになるかなって。何をすれば良いかもよく分からなかったから、入口として使いやすかった。

颯馬

就活をする意味も分かってなくて、色々考えた結果(就職しても会社を)辞めることもできるし一度就職することにしよう、と思った。で、8月ごろに自分に何が合うかを一応知りたくてダンキャリの面談に行った。一回自己分析しようと思って。面談した結果もそうだし、(自分の)性格的にも大手は全くないだろうな、、ってのはわかった。

安西

颯馬は大手ではないでしょ笑

颯馬

就職するとしたらベンチャーだなって決まって。とりあえず有名なところ行ってみようと思って、最初にDeNA受けてめっちゃ良いなぁと思って選考受けたんだけど、最終手前まで行ったタイミングでタイに旅行に行ってしまって、タイに行ってる間に気持ち切れてしまった(爆)

安西

なんだその話(笑)

颯馬

就活の軸は、自分がすぐ辞めるかもしれないから、最初から大きな仕事をできるのが絶対条件。自由にやらせてもらえるとこ、人が多いこと、起業精神持ってる人がいるか、みたいなところを見てた。そこで見たときにUTが一番やりやすかったかな。

就活で使ったダンスの話とは?

安西

2人とも役職に就いてたし、就活でダンスの話使ったと思うんだけど、実際使った?

智哉

「一番頑張った時期はいつ?」ってやっぱり聞かれるから、、まあ使ったよね。

安西

ガクチカ(学生時代力を入れたこと)ね。

智哉

そう。それってつまり「一番忙しかった時期」の話でもあるし。俺の場合はダンスなんだけど高校時代が一番頑張ってた。高校全体でサイファー開いたりとかもやってたし、大学より高校の時の方が純な気持ちでやってたからそっちをメインで使った。大会にも出たし。逆に大学時代のダンスは淡々とやってたからな〜。

安西

俺は大学時代のSesSionの夏公演の話とか、動員数とかの話をしたけどね。

智哉

そこの話を使ったのはデカいよね。一年間かけてそこに向かっていくから話の厚みもあるし。一応俺も大学時代の話は使ったんだけど、「SesSion夏公演を成功させる」っていうのを最大の目標に置いて、その達成のための手段として新歓とか6月のイベントとかをどうやっていったかっていうのはすごい話した。夏公演の話ではないけど、ゴールが夏公演で、そのための過程のイベントの話をしてた。

安西

BREAKのジャンルリーダーとしての話?

智哉

そう。冬イベとか新歓でこういうことを試して、同期内でこういう力が見えたから、それを生かして夏公演ではこういう風にこいつらを動かそう。とかは実際かなり考えてた。だからそこの話は使ったかな。

安西

颯馬はSesSion幹事長としての話はしたの?

颯馬

どうやってSesSionを残したらいいか、を考えて運営してましたっていう話をした。学生ダンサー界って縮小傾向だから、、定員割れしたり。

安西

当時めっちゃ本読んでたよね(笑)

颯馬

そうそう、、(笑)組織論みたいな本よく読んでた。
組織にはまず「一個強み」があって、それが「周りに認められて」、そこから繁栄していくっていうのがあると思うんだけど。そこでSesSionの強みを考えたんだけどそれがないことがわかった(笑)人数多いだけが取り柄だったけどそれも無くなりそうで、この先何の目標もない中で、ただ惰性で続けていって段々縮小していく未来しか見えなかったから、なんか転換が必要だと思った。だから都知事も見にくる障害者支援イベントだったり色んなイベント出たりとか、協賛営業もやってみた。

安西

俺らの代のSesSionは6月に4つくらいイベント出たよね(笑)毎週土日イベント出て(笑)熱中症でみんながバタバタと倒れて、、とか(笑)

颯馬

まず多角化してから絞ろうと思って、とりあえずめっちゃ色んなイベント出る。という選択をした(笑)

安西

今だから言えるけどサークル員の俺としてはかなりしんどかった(爆)

颯馬

就活はそのへんの話をしたかな。オリンピック出れるサークルにしようと思ってました、って話をした。イベントとか出て、都知事の目に触れたり。

安西

映画撮影もやったよね(笑)

颯馬

まだ公開されてないけどやったね(笑)エンドロールにSesSionの名前が出たら、気付いてもらえたりとかあるのかなって思ってそれも全部引き受けた。いかに名前を売るかを考えてた。生き残るために。種の存続だよね(笑)

安西

智哉はさっきのBREAKの話をもうちょっと深く言うとどんなこと言ってた?

智哉

まずBREAK自体がサークルの内部から認めてられていないジャンルだな、って思ったからまずは身内であるサークル員から認められるジャンルにしないとダメだなって思ってた(笑)これまでの先輩見てると、後輩の俺から見てもいいジャンルではなかったと思ってたし。

安西

颯馬はわりとサークル外に向けた話だったけど、智哉はサークル内のことを考えてたって感じなんだ。BREAKのどういうところが良くないと思ったの?

智哉

技術ないのに、目立ちたがるところ。なんか調子にも乗っとったし、自分たちの行動と外部に向けて発信する実力が噛み合ってなくて。内部ではオラオラしてたけど、外部では萎縮するみたいな。そういう意識から変えていきたかったから。意識改革。

安西

詳しく!

智哉

一回一回の練習を通して、ちゃんと自分たちがどこまで”ダンスとしてのスキル”を伸ばせるかっていうのを考えて欲しいなってみんなに言ってた。ショーケースの練習だけしかやらない人も多いから、振り付けはそこそこになるけどピュアなダンスとしてのスキルはついてこない、、それは悲しいから。基礎練のスタイル(仕組み)から変えて、まずダンスの部分を上手にしよう。ってなった。ダンスできないから大技に魅せられてBREAK選びました。って子がもいたんだけど、それだけだと飽きるし面白くないから、できないなりに”ダンス”の練習をやらせて。同期に声かけて、自分の持ってるスキルを引退するまでに後輩たちに伝えていくっていう時間を取ったりして。

安西

文化の創造、って感じだね

智哉

文化の創造、、、ちゃんとショーケースの振り付けを練習する時間と、ダンス的な基礎練をする時間、で分けて練習する様にした。安西は?

安西

就活ではほぼダンスの話しか使ってないかな。ジャンルリーダーとしての話なんだけど。俺がそもそも基礎練嫌いだから、「基礎練をいかに楽しくやれるようにするか」を考えてた。メンバーに苦手意識を持って欲しくなくて、まずは練習に来たいと思ってもらうための空気づくりもこだわったかな。自分なりにボケたりとか。深夜練多くてイベントも多いし、練習来たくないなって子が多くて。その雰囲気作りの話と、せっかくジャンルリーダーになったんだから、自分の色を最大限出しつつ、夏公演でPOPをどう思いっきりレペゼンできるかっていうのを考えてた。就活ではその話をしたかな。

伝わりづらいダンスの話をいかに伝えるか

智哉

専門用語かなり多いけど、それは就活でどう伝えたの?

安西

そこは結構苦労した(爆)雰囲気作りのためにボケます!って言うとなんかアホっぽいし(笑)伝える時は、「自分のキャラクターをみんなに知ってもらうことで、ピリピリしすぎないように、練習に来やすい、質問しやすい雰囲気を作った」って言った。言葉選びってダンサーって苦労するから。。

智哉

伝わらないよねマジで、、共通言語にいかに変換するかが勝負だよね。

安西

そうそう。「ジャンル」って単語すらも伝わらないからさ、7つチーム、、部署みたいなのがあって、そこの一個の部長をやってました、とか。そこは結構みんなも苦労したんじゃないかな、、、?颯馬は代表とかやってたからさ、そういう言い換えみたいなの苦労したの?

颯馬

俺はそもそもアプローチが逆だったかも。相手は「俺が何をできるかが」知りたいわけで「俺の過去」を知りたいわけじゃないから、エピソードの中で「挫折経験の詳しい内容」じゃなくてそれを「どうやって」「どんなマインドで」乗り越えたかを聴きたいんだろうなとか思ってた。だから、ベンチャーでどういう人材が活躍できるかを考えて、それは”指示待ち人間ではなく、自らの意志でで動ける人”、だなって思った。

安西

相手がどんな人欲しいかを考えたのか!

颯馬

そうそう。そういう経験自分にあったのかなって考えた時に、俺1年の春に大阪1ヶ月行ったじゃん?

安西

行ってたね、ダンス修行みたいな。

颯馬

そういうの使えるなーと思って。雰囲気作りの面で言うと「颯馬は面白い」ってよりは「颯馬はすごい人」であるように努めて、同期や後輩たちに「颯馬のようにすごい人になりたい」と思わせるかを意識してた。だからこそ「自分が常に頑張り続ける」「常に人と違うことをどうやって上手くするか」を考えてた。めちゃくちゃ練習した。

安西

それは成功してたな(笑)智哉は言語化で苦労した部分ある?

智哉

受ける所がブライダル系だったんだよね。きっかけはダンキャリの紹介でディアーズブレーンって言うブライダル企業の紹介を受けたこと。ダンキャリの面談や、ディアーズブレインの人事の方々に自己分析を手伝ってもらって、具体的に話せるようになったかな。ジャンルリーダーやってて、ショーケース作ってて人を動かしててって話。かつブライダル系って割とみんな若いし、ダンス出身者も多いから”ブレイクダンス”ってそのまま伝えても結構分かってくれたのは運が良かった。全部が伝わったわけではないけどね。そんなに噛み砕いた説明はしないけど、用語の言い換えももちろんある程度はやったよ。

安西

あとダンキャリ主催の「人事がナットクするダンスの伝え方セミナー」も行ってたよね。あれ結構便利だった。

颯馬

それいいね。

安西

大手メーカーとかも結構受けてたよね?

智哉

あの辺は正直面白半分で受けてた(笑)そこで難しかったのが、人事のおっちゃんが、「ちょっと俺ダンスわからないから、ブレイクダンスの魅力教えてよ」って、「1分で教えてくれ」って言われて(爆)

颯馬

それ言われたな俺も(笑)

智哉

「ダンスって何がいいの?ダンスって何??」って言われて。そんなもの一言で言えんから、「そもそも全体でこんなジャンルがいくつかあってて、その中のこういう種類のものをやってて…」って言ったけど、「概要はいいからその魅力を教えてよ」って言われて。野球を中学までやってたから、スポーツとの違いを結構説明したりもしたんだけど。

安西

スポーツとの違いとは!?

智哉

ダンスってアートな部分があって、歴史を大事にするカルチャーがあります、とか言ったかな。ブレイクダンスってストリートダンスの始まりっていう説もあるから、その面を含めて、「こんなに自分たちの起源のこととか、歴史や文化のこととかを考えて自分を出してやってるスポーツってないでしょ!」ていう違いを説明して。そういう背景があるから「こうやって踊るフリにはこういう意味があるんです」とか一個づつ定義づけて説明した。

安西

それを伝えた結果どうなった?

智哉

落ちたね。

安西

オチそこかよ(爆)落ちだけに、、てかそもそもだけど日経の大手メーカーとかいわゆる”日本の大企業”にダンスの話あんま伝わらない気がする。知識的な面もそうだけど、大企業の面接ってそもそも時間が短いからさ。1回あたり5~15分とか。

颯馬

え、1回あたり1時間とかじゃないの??

安西

いやそれベンチャーだけだと思う…大企業の面接だとほんの一瞬で「僕はもう新人でバリバリ働いて頑張ります!!!!」を伝えなきゃいけないよね。

颯馬

そんなただの気合いみたいな面接で、仮に通ったとしても、そもそも学生の方は嬉しいの?(笑)

安西

俺だったら嫌かな。自分のことを深く理解してもらってない状態で通っても、入社後のミスマッチがあるよね。ベンチャーって少人数なこともあり、人材1人に対しての依存度が高いからしっかり人を見てくれようとするんだよね。だから、面接時間が長いし、めちゃくちゃ深掘られる。ダンスの魅力とか伝えるためには、そもそも特殊言語の説明とか、ダンスサークルのそもそもの前提とか伝えなきゃいけないから、逆にベンチャーの面接システムは有り難かったかも。大手の集団面接とか一瞬しか話せないから何も伝えられないよ。野球だとしてもパーソナリティ伝わってないと思う。

<後編に続く>

ダンサーズキャリアではダンサーの就活を応援しています